本屋は燃えているか

ブックストアの定点観測

週間ベスト10 2017.05.02

ランキングです

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東京堂書店神田神保町店調べ(5月2日)

 

 

1「みみずくは黄昏に飛びたつ」川上未映子村上春樹 著(新潮社) 

ただのインタビューではあらない。『騎士団長殺し』の誕生秘話、創作の極意、少年期の記憶、フェミニズム的疑問、名声と日常、 そして死後のこと……。誰もが知りたくて訊けなかったことを、誰よりも鮮烈な言葉で引き出した貴重な記録。11時間、25万字 におよぶ、「作家✕作家」の金字塔的インタビュー。

みみずくは黄昏に飛びたつ

みみずくは黄昏に飛びたつ

 

 

 

2「銀漢亭こぼれ噺ーそして京都」伊藤伊那男 著、 (発行:北辰社 発売:星雲社) 

俳人協会新人賞受賞の俳人にして、酒亭・銀漢亭亭主が始めて語る俳句と京都を巡る半生記。仕事で赴任した京都、京都生まれの妻を娶り、俳句を始めてからの京都。バブルの崩壊により事業から撤退し、俳人居酒屋の亭主としての再出発。そして、妻を亡くしてからの京都……。喜びと悲しみを交錯させながら、俳人はどう生きてきたのか。★吉田類(酒場放浪記)推薦!!

銀漢亭こぼれ噺ーそして京都

銀漢亭こぼれ噺ーそして京都

 

 

3「ランチパスポート神保町・御茶ノ水・水道橋・飯田橋VOL.9」(DRCマーケティング) 

ランチパスポート神保町・御茶ノ水・水道橋・飯田橋VOL.9 ([テキスト])

ランチパスポート神保町・御茶ノ水・水道橋・飯田橋VOL.9 ([テキスト])

 

 

4「映画横丁 第4号(2017.春) 特集:日本酒のある風景」Sunborn 著(ソリレス書店)

http://www.sunnyboybooks.jp/wp-content/uploads/2015/06/7c05b41d5bdca46a5e0e12c8183beda4-660x275.jpg

この雑誌は、個人的にミニコミ誌「映画酒場」を発行している月永理絵さん(32)が、映画関連サイト「LOAD SHOW」などを運営するSunbornに持ちかけた企画で、同社にとっては初の紙媒体となる。

「極端な話、映画と酒が好きという動機だけで十分におもしろい。とりあえずは季刊を想定しているが、理想としては毎月の発行を目指したい」と同社の岡本英之さん(36)。【手帖】雑誌「映画横丁」が創刊 - 産経ニュース

 

https://www.facebook.com/eigayokocho/

twitter.com

映画横丁 第4号(2017.春) 特集:日本酒のある風景

映画横丁 第4号(2017.春) 特集:日本酒のある風景

 

 

 

5「今日の人生」益田ミリ 著(ミシマ社)

むなしい日も、幸せな日も、おいしいものを食べた日も、永遠の別れが訪れた日も……。益田ミリさんの人生がつまり、初めて「死」について書いた著者の転換点となる最高傑作・コミックエッセイ。

今日の人生

今日の人生

 

 

6「東京の編集者―山高登さんに話を聞く」山高 登 著(夏葉社)

夏葉社は1976(昭和51)年生まれの島田潤一郎さんが吉祥寺でひとり営んでいる、2009年9月に創業した出版社です。 

http://natsuhasha.com/

 

 

7「蜜蜂と遠雷恩田陸 著(幻冬舎) 

蜜蜂と遠雷

蜜蜂と遠雷

 

 

8「ゲンロン0 観光客の哲学」東浩紀 著(株式会社ゲンロン)

否定神学マルチチュードから郵便的マルチチュードへ――。
ナショナリズムが猛威を振るい、グローバリズムが世界を覆う時代、新しい政治思想の足がかりはどこにあるのか。
ルソー、ローティ、ネグリドストエフスキー、ネットワーク理論を自在に横断し、ヘーゲルパラダイムを乗り越える。
著者20年の集大成、東思想の新展開を告げる渾身の書き下ろし新著。

ゲンロン0 観光客の哲学

ゲンロン0 観光客の哲学

 

 

9「murmur magazine for men 第3号」(エムエム・ブックス)

http://colocal.jp/wp-content/uploads/2015/08/th_2.jpg

文筆家で詩人の服部みれいさんが編集長を
務める雑誌『マーマーマガジン』。
冷えとりや自然農法、塩浴や断食、心と身体のつながりなど、
エシカルでホリスティックなアイデアを紹介し、
女性を始め圧倒的な支持を集めています。

この『マーマーマガジン』を発行するエムエム・ブックスが、
編集部も含めて丸ごと岐阜県美濃市に移転してから早4か月。
このたび、エムエム・ブックス初となる
セレクトショップ「エムエム・ブックス みの」が、
同じく美濃にオープンしました。

 

本書はその第三号

mm books 

10「BUTTER」柚木麻子 著(新潮社)

結婚詐欺の末、男性3人を殺害したとされる容疑者・梶井真奈子。世間を騒がせたのは、彼女の決して若くも美しくもない容姿と、女性としての自信に満ち溢れた言動だった。週刊誌で働く30代の女性記者・里佳は、親友の伶子からのアドバイスでカジマナとの面会を取り付ける。だが、取材を重ねるうち、欲望と快楽に忠実な彼女の言動に、翻弄されるようになっていく―。読み進むほどに濃厚な、圧倒的長編小説。

BUTTER

BUTTER

 

月刊「ニューメディア」別冊の2冊が大売れしています。

一般書店にはほぼ絶対といっていいほど見当たらないのに、放送局で売れている本。

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「IPライブ伝送制作システムの解説書」

http://www.newww-media.co.jp/images/iplivebookbnr.jpg

主要IPライブ伝送技術提案と標準規格、国際動向、導入事例、構築課題など(筆者敬称略)
● IPライブ伝送技術規格の国際動向 パナソニック鈴木淳
● 規格「SMPTE 2022」の概要 メディアグローバルリンクス:中村和則
● 注目されるPTPの解説 メディアグローバルリンクス:清水剛
● 提案 AIMS(Alliance for IP Media Solutions) 提唱社:AIMS
● 提案 IP Live / Network Media Interface(NMI) 提唱社:ソニー
● 提案 IP-VRS(IP Video Router System) 提唱社:メディアグローバルリンクス
● 提案 NDI (Network Device Interface) 提唱社:NewTek
● AIMSマーケティング活動「5技術団体が協業デモ」 パナソニック:宮沢哲也
● 中京テレビ「世界初 ST2022-6/7による回線センター」 月刊ニューメディア編集部
● ブラジルのTV Globo「4K IP中継車を製作」 ソニービジネスソリューションズ:小貝 肇
● IPライブ伝送制作システム構築の課題とアプローチ 朋栄:和田雅徳

 

HDR制作の解説書」 

http://www.newww-media.co.jp/images/hdrsbookbnr.jpg

最新、注目12例 4K・8K/HDRコンテンツの制作報告(筆者敬称略)
NHK精霊の守り人』 重永明義
Netflix『火花』 Netflix宮川遙、IMAGICA清野晶宏
ポリゴン・ピクチュアズシドニアの騎士』『シドニアの騎士 第九惑星戦役』 石丸健二
NTTぷらら長崎ランタンフェスティバル』『 Red Bull X-Fighters~』 須賀田大・朝川大輔
朝日放送(ABC)『夏の甲子園 ライブ中継』 宇佐美貴士
JVCケンウッド・ビデオテック『川井郁子15周年コンサート』 森俊文
毎日放送MBS)『泉涌寺音舞台』 露口三郎
● 静岡朝日(SATV)・長野朝日(abn)・北陸朝日(HAB)・新潟テレビ21(UX)・名古屋テレビ(メ~テレ)『ブロック5局共同制作 さくら』 メーテレ長田圭介
立教大学『4Kでよみがえる浮世絵2』 佐藤一彦
ソニーPCL『UHD BD 宮古島 癒やしのビーチ』 諏佐佳紀
NHKメディアテクノロジー「HDR特性の実測値など報告」 村上篤史
IMAGICA+ROBOT『8K/HDRファンタジー LUNA』 ROBOT諸石治之

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版元は株式会社ニューメディア。月刊誌「ニューメディア」の発行や「ニューメディア・ブックス」シリーズなどIT業界から高い信頼を得ている専門書籍の出版、セミナーの開催などを行っている出版社です。月刊ニューメディア | 会社案内

前者、ピンクの本は、テレビの中継技術の革命ともいわれるインターネット中継をまとめたもの。視聴者から見るとなじみの薄い映像の伝送手段について最新情報をまとめています。簡単に言うと、数年前までは、映像の生中継は通信衛星や専用回線を使って行っていたため、非常にコストのかかるものでした。ところがインターネット環境の急速な進歩により、映像の中継にかかるコストが急速に安くなっています。放送局の中でも「フレッツ光」などのインターネット公衆網を使ってライブ中継イベントを行うケースが増えています。この変化がなにをもたらすのかまとめた本です。

放送局が高いコストを払わなければ実現しなかった生中継が変わるとどうなるのでしょうか。素人考えでも、ライブに価値がある空間に置かれる中継カメラが増えるでしょう。ユーチューブのライブ版が出てくるでしょう。火山の火口とか、絶景のビューポイントなどは席料を取って映像配信するかもとれません。街中に張り巡らされている監視カメラもビジネスの対象となるかもしれません。

 

後者 「HDR制作解説書」は映像コンテンツの制作者の飯の種になる技術を解説した本です。HDRとは「High Dynamic Range(ハイダイナミックレンジ)」の頭文字を取った、映像に記録できる明るさ情報(輝度)のレンジを拡大する技術です。f:id:tanazashi:20170501170841j:plainたとえば太陽光やネオンなどのまぶしさをテレビ画面に映し出すとまぶしさがありませんが、画面から発する明るさ(輝度)を高めることで、現実さながらの光の世界が視聴者に届く技術です。

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2冊とも一般書店で見かけることはほとんどありません。それどころか、ネット上で買おうにもアマゾンや楽天の書籍カタログに掲載されていません。つまり書店でなければ手に取って読めない本です。入荷したとたんに売れるので、ちょっとした「特需」。たまに一般書店にはない売れ方をする本が現れることがあるのがこの書店の面白いところです。

 

辻山良雄さんが薦める新刊 2017.04.30

新しい本に出会うには、信頼できる選者が薦める本を手に取るのが早道です。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/t/tanazashi/20161010/20161010204344.jpg

 

大型書店「リブロ池袋本店」の元統括マネージャー。同店閉店後に退職し、荻窪に「Title」という自分の店を開いた辻山良雄さんが薦める本です。

http://www.aoyamabc.jp/wp-content/uploads/2016/06/bookstore2-main1.jpg

 

「国のない男」カート・ヴォネガット 著(中央公論新社

人間への絶望と愛情、そしてとびきりのユーモアと皮肉。世界中の読者に愛された、戦後アメリカを代表する作家、ヴォネガット。その遺作となった当エッセイで軽妙に綴られる現代社会批判は、まるで没後十年を経た現在を予見していたかのような鋭さと切実さに満ちている。この世界に生きるわれわれに託された最後の希望の書。

 

「建築文学傑作選」青木淳 著(講談社

建築学科の必読書は谷崎「陰翳礼讃」であるという。文学と建築。まったく異なるジャンルでありながら、そのたたずまいやなりたちに文学を思わせる建築、そして構造、手法に建築を思わせる文学がある。構成、位相、運動、幾何学、連続/不連続――日本を代表する建築家が選び抜いた、既存の読みを覆す傑作“建築文学”十篇。

建築文学傑作選 (講談社文芸文庫)

建築文学傑作選 (講談社文芸文庫)

 

 収録作品
須賀敦子ヴェネチアの悲しみ」
開高健「流亡記」
筒井康隆「中隊長」
川崎長太郎「蝋燭」
青木淳悟「ふるさと以外のことは知らない」
澁澤龍彦「鳥と少女」
芥川龍之介「蜃気楼」
幸田文「台所のおと」
平出隆「日は階段なり」
立原道造「長崎紀行」

文学空間の中に行き交う光、音、文章の構造への楽しみが新たな<読み>を誘う。

 

「捨てる女」内澤旬子 著(朝日新聞出版)

乳がん治療の果てに、突然あたしは何もない部屋に住みたくなった──。生活道具や家具、長年蒐集してきたお宝本、ついには配偶者まで!! 40年の人生で溜め込んだすべてのものを切り捨てまくる、捨て暮らしエッセイ。

捨てる女 (朝日文庫)

捨てる女 (朝日文庫)

 

次から次へとモノが捨てられる様は痛快。

 

週間ベスト10 2017.04.30

総合部門のランキングです。 

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日販調べ(4月17日~23日)

 

1「蜜蜂と遠雷恩田陸 著(幻冬舎

俺はまだ、神に愛されているだろうか?ピアノコンクールを舞台に、人間の才能と運命、そして音楽を描き切った青春群像小説。

蜜蜂と遠雷

蜜蜂と遠雷

 

 

2「儒教に支配された中国人と韓国人の悲劇」ケント・ギルバート 著(講談社) 

 

3「九十歳。何がめでたい」佐藤愛子 著(小学館) 

九十歳。何がめでたい

九十歳。何がめでたい

 

 

4「か「」く「」し「」ご「」と「」住野よる 著(新潮社)

みんなは知らない、ちょっとだけ特別なちから。そのせいで、君のことが気になって仕方ないんだ―きっと誰もが持っている、自分だけのかくしごと。5人のクラスメイトが繰り広げる、これは、特別でありふれた物語。共感度No.1の青春小説!

か「」く「」し「」ご「」と「

か「」く「」し「」ご「」と「

 

 

5「名探偵コナン から紅の恋歌」水稀しま 著(小学館

 

6「うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち田中圭一 著(KADOKAWA

著者自身のうつ病脱出体験をベースにうつ病からの脱出に成功した人たちをレポート。うつ病について実体験から知識を学べ、かつ悩みを分かち合い勇気付けられる、画期的なドキュメンタリーコミック!

うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち

うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち

 

 

 

7「素敵な日本人 東野圭吾短編集」東野圭吾 著(光文社)

たとえば、毎日寝る前に一編。ゆっくり、読んでください。豊饒で多彩な短編ミステリーが、日常の倦怠をほぐします。意外性と機知に富み、四季折々の風物を織り込んだ、極上の九編。読書の愉楽を、存分にどうぞ。

素敵な日本人 東野圭吾短編集

素敵な日本人 東野圭吾短編集

 

 

 

8「応仁の乱 - 戦国時代を生んだ大乱」呉座勇一 著(中央公論新社

室町後期、京都を戦場に繰り広げられた内乱は、なぜあれほど長期化したのか。気鋭の研究者が戦国乱世の扉を開いた大事件を読み解く。

応仁の乱 - 戦国時代を生んだ大乱 (中公新書)

応仁の乱 - 戦国時代を生んだ大乱 (中公新書)

 

 

9「いのちの車窓から」星野源 著(KADOKAWA

星野源が、雑誌『ダ・ヴィンチ』で2014年12月号より連載をスタートした、エッセイ「いのちの車窓から」に、書き下ろしを加えて単行本化。
ドラマ「逃げ恥」、「真田丸」、大ヒット曲「恋」に2度目の「紅白」出演と、怒涛の駆け上がりを見せた2年間の想い、経験、成長のすべてがここに。
星野源の面白さと、哲学と、精確さのすべてを注ぎ込んだ、誠意あふれるエッセイ集。

いのちの車窓から

いのちの車窓から

 

 

10「がんで余命ゼロと言われた私の死なない食事」神尾哲男 著(幻冬舎

そうだ!料理で病気を治すんだ!末期がんを宣告されて14年。調味料をすべて変える。旬の食材を皮まで食べる。“奇跡のシェフ”、昔の日本食をヒントに辿りついた命の食事法。

がんで余命ゼロと言われた私の死なない食事

がんで余命ゼロと言われた私の死なない食事

 

 

 

U-29「書店店長・ライター」に共感しました

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川代紗生さん(24)は、福岡市にある書店の店長。店のブログの人気ライターとしても活躍している。そんな彼女がこの冬挑んだのは小説を書くこと。その理由とは?

4月25日に放送されたNHKのドキュメンタリー番組は書店員が主役でした。

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人生デザイン U-29「書店店長・ライター」の舞台は福岡市の天狼院書店です。天狼院書店は天狼院秘本で知られる個性的な書店です。

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一般の書店なら書棚が並ぶスペースが、座って本が読める広い空間になっています。

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福岡のこの店は、池袋に本店を持つ天狼院が出店したもの。店主の三浦崇典さんは書店員から独立して店を持った立志伝中の人物として書店員の間で知られています。

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三浦さんにとって、書店とはただ漫然と本を売るのではなく、情報としての本を提供する場が理想なのだそうです。談話室のような空間を作ったり、書籍のテーマに合わせた講習会を開いたりと様々な試みを続けています。

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試みの一つが「部活動」。

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例えば写真関連の本を特集する場合は、写真のノウハウを持つ講師による講習会を企画します。f:id:tanazashi:20170429215229p:plain

プロのカメラマンが直接聞きの操作方法を教えることで、読者が理解を深めるという仕組みです。人と人が直接触れ合うことで活字に書いてあること以上の交流が深まることから、書店の高感度も高まるといいます。

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番組では福岡店店長の川代紗生さんの仕事に密着しながら、新しい形の書店のあり方を伝えていました。「モノよりコト」が価値を持つ時代のちょっとスローな仕事のあり方に、憧れを感じました。

 川代紗生@福岡天狼院(@kawashirosaki)さん | Twitter

お金を払ってでも働きたい場所・天狼院書店について《川代ノート》 - 天狼院書店 

tanazashi.hatenablog.com

tanazashi.hatenablog.com

 

ananの噓

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「ananの噓」酒井順子 著(マガジンハウス)

 an・anにダマされて、女は大人になる。創刊から45年。アンアン2000号までを振り返る!巻末スペシャル対談:江原啓之さんと語る、「アンアンの嘘」のホント。

2016年4月13日(水)発売号で女性ライフスタイル誌『an・an』は通巻2000号を迎えました。こうした記念号は振り返り企画で埋め尽くされます。記念号の内容もそれでした。しかし、多少の浮沈はありながらも高度成長からバブル、そして現代と46年間にわたって発行されてきた雑誌の重みは十分に伝わってきました。

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雑誌の創刊から2000号までの道のりを、酒井順子さんが1年半にわたってたどったエッセイ。日本女性の生き方の変遷や、女性誌の歴史を読み解くキーワードは「嘘」という視点は同性でなければなかなか書けるものではありません。

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それにしても地下鉄・表参道駅で展示された46年分の表紙は壮観な眺めです。

ananの?

ananの?

 

 

週間ベスト10 2017.04.25

ランキングです

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東京堂書店神田神保町店調べ(4月25日)

 

 

1「たべるのがおそい3」(書肆侃侃房) 

小説と翻訳と短歌を中心にした文学ムック
わたしたちは誰もが重力というものに支配されています。「たべるのがおそい」は、その重力を少し弱めてみたいと思っています。読んでいるあいだ、少し動きやすく、歩きやすい、それがこの一風変わったタイトルの文学誌の目標です。西崎憲(編集長)

文学ムック たべるのがおそい vol.3

文学ムック たべるのがおそい vol.3

 

 

2「蜜蜂と遠雷恩田陸 著(幻冬舎) 

蜜蜂と遠雷

蜜蜂と遠雷

 

 

3「北海タイムス物語」増田俊也 著(新潮社) 

破格の低賃金、驚異の長時間労働、 そして、超個性的な同僚たち……
『七帝柔道記』の続編は、新人新聞記者の奮闘を描く 熱血お仕事小説! 「仕事っていうのはな、恋愛と同じなんだ。
お前が好きだって思えば向こうも好きだって言ってくれる」
平成2年(1990年)。全国紙の採用試験にすべて落ち、北海道の名門紙・北海タイムスに入社した野々村巡洋。縁もゆかりもない土地、地味な仕事、同業他社の6分の1の給料に4倍の就労時間という衝撃の労働環境に打ちのめされるが、そこにはかけがえのない出会いがあった――休刊した実在の新聞社を舞台に、新入社員の成長を描く感動作。

北海タイムス物語

北海タイムス物語

 

 

4「BUTTER」柚木麻子 著(新潮社)

結婚詐欺の末、男性3人を殺害したとされる容疑者・梶井真奈子。世間を騒がせたのは、彼女の決して若くも美しくもない容姿と、女性としての自信に満ち溢れた言動だった。週刊誌で働く30代の女性記者・里佳は、親友の伶子からのアドバイスでカジマナとの面会を取り付ける。だが、取材を重ねるうち、欲望と快楽に忠実な彼女の言動に、翻弄されるようになっていく―。読み進むほどに濃厚な、圧倒的長編小説。

BUTTER

BUTTER

 

 

5「勉強の哲学 来たるべきバカのために」千葉雅也 著(文藝春秋

人生の根底に革命を起こす「深い」勉強、その原理と実践。勉強とは、これまでの自分を失って、変身することである。だが人はおそらく、変身を恐れるから勉強を恐れている。思想界をリードする気鋭の哲学者による本格的勉強論。

勉強の哲学 来たるべきバカのために

勉強の哲学 来たるべきバカのために

 

 

6「子どもたちの階級闘争――ブロークン・ブリテンの無料託児所から」ブレイディ みかこ 著(みすず書房

「政治は議論するものでも、思考するものでもない。それは生きること
であり、暮らすことだ。」
英国移民で一児の母でもある保育士ライターが放つ、渾身の一冊。

 

 

7「神田神保町書肆街考: 世界遺産的“本の街”の誕生から現在まで」鹿島茂 著(筑摩書房

 

 

稀代の古書店街として世界に名をとどろかす「神田神保町」はいかにして出来上がったか。そこに蝟集した書店、出版社、取次、大学、語学学校、専門学校、予備校、映画館etc.さまざまな記憶と記録を縦横無尽に召喚し、日本近代を育んだ“特異点”の全貌を描き出す!

 

8「月の満ち欠け」佐藤正午 著(岩波書店

新たな代表作の誕生! 20年ぶりの書き下ろし
あたしは、月のように死んで、生まれ変わる──目の前にいる、この七歳の娘が、いまは亡き我が子だというのか? 三人の男と一人の少女の、三十余年におよぶ人生、その過ぎし日々が交錯し、幾重にも織り込まれてゆく。この数奇なる愛の軌跡よ! さまよえる魂の物語は、戦慄と落涙、衝撃のラストへ。

月の満ち欠け

月の満ち欠け

 

 

9「断裁処分」藤脇邦夫 著(ブックマン社)

もしも、2017年4月1日に消費税10%が施行されていたら―――。
出版不況の中、窮地に陥った経営破綻寸前の老舗出版社が最後の財産として残しておいた版権をめぐって、
暗躍する出版業界の俗物たちが巻き起こす狂騒と波乱。
消費税10%の施行日に向かって、大手出版社、広告代理店、印刷所、製紙会社、作家、取次、書店、外資まで巻き込んだ一大買収劇が始まる。

誰が最後に「本」を救うのか。 読みだしたら止まらない!
謎だらけの出版業界の仕組みをリアル過ぎる筆致で描いた、今までにない出版業界小説!
一寸先は闇の出版業界から、そろそろ足を洗いたいと思っている出版社、書店、取次会社、エージェント、作家ほかすべての関係者へ。
その決断は、この本を読んでからにしてください。

東京堂神田神保町店周辺には出版関連でメシを食っている人が多いことからランクインしたものと見られます。小説としての評価は・・・

物語としては欠点が多いので、フィクションにせず、業界本としてくれたほうがまだ良かったです。

断裁処分

断裁処分

 

 

10「本人に訊く〈2〉おまたせ激突篇」椎名誠目黒考二 著(椎名誠旅する文学館) 

2017年2月現在、著作数267作。『南国かつおまぐろ旅』(’94)から『大漁旗ぶるぶる乱風編―にっぽん・海風魚旅4』(’05)まで89作の裏事情をきく!著者シーナvs.書評家メグロ。全著作検証第2弾!

本人に訊く〈2〉おまたせ激突篇

本人に訊く〈2〉おまたせ激突篇