本屋は燃えているか

ブックストアの定点観測

#想田和弘「THE BIG HOUSE アメリカを撮る」

f:id:tanazashi:20180528162005j:plain

 

「THE BIG HOUSE アメリカを撮る」想田和弘*1 著(岩波書店

6月に東京渋谷のシアターイメージフォーラムほかで公開予定の映画「ザ・ビッグハウス」。

全米最大のアメフトスタジアム「ザ・ビッグハウス」に集い、働く人々にカメラを向けるという”記録映画"です。

ついに想田和弘がアメリカで観察映画を撮った。しかも舞台は、全米最大のアメリカンフットボール・スタジアム、通称"ザ・ビッグハウス"。パブリック・アイビーと称される名門ミシンガン大学が誇るウルヴァリンズの本拠地だ。収容人数は10万人以上、地元アナーバー市の総人口に迫る。
想田を含めて17人の映画作家たちが廻すキャメラが捉えたダイナミックなプレイ、熱狂する観衆、バックヤードで国民的スポーツを支える実に様々な人々…。それらの映像群が、想田の大胆かつ緻密なモンタージュによって、まるで巨大な生命体のように機能するスタジアムの全貌を描き出していく。
それは現代アメリカの縮図でもある。教育とスポーツとビジネスの関係。人種や階級、格差、宗教問題。台頭するナショナリズムやミリタリズム…。アメリカが誇る文化と抱える問題とが、"ザ・ビッグハウス"という小宇宙に浮かび上がる。奇しくも撮影は2016年の秋、ドナルド・トランプ大統領誕生へと至る選挙戦の最中に行われた。

ザ・ビッグハウス THE BIG HOUSE | シアター・イメージフォーラム

全米最大のアメフトスタジアム「ザ・ビッグハウス」に集い、働く人々にカメラを向けるという映画の作成にあたっては、ミシガン大学で学ぶ映像作家によるプロジェクトが組まれ、膨大な映像が撮影されました。その映像群は監督・製作・編集を担当した想田和弘さんの手で2時間あまりの作品に凝縮されました。

言葉や文化の違う学生との共同作業や、編集過程での軋轢など、著者が経験した体験は、映像制作に携わる関係者にとって学びの多い内容が詰まってます。

 

*1:映画作家。1970年栃木県足利市生まれ。東京大学文学部卒。93年からニューヨーク在住。NHKなどのドキュメンタリー番組を40本以上手がけた後、台本やナレーション、BGM等を排した、自ら「観察映画」と呼ぶドキュメンタリーの方法を提唱・実践。主な監督作品に『選挙』(07年、ピーボディ賞、ベオグラード国際ドキュメンタリー映画祭グランプリ)、『精神』(08年、釜山国際映画祭最優秀ドキュメンタリー賞、ドバイ国際映画祭で最優秀ドキュメンタリー賞など受賞多数)